記事一覧

そのNano Serverのインストール、ちょっと待った!

そのNano Serverのインストール、ちょっと待った!
●1年前にデビューしたNano Server、初代は引退を表明?

 「Nano Server」は、2016年9月(ライフサイクルの開始は10月15日)にリリースされたWindows Server 2016の新しいインストールオプションです。Windows Server 2008以降、「GUI使用サーバー」とも呼ばれるフルインストール(Windows Server 2016では「デスクトップエクスペリエンス」と呼ばれます)と、フルインストールのWindows ServerからGUI(Graphical User Interface)機能を削除した「Server Core」インストールの2つのインストールオプションが存在しましたが、Nano ServerはServer Coreインストールよりもさらにコンパクト化された、“最小のインストールオプション”です。

Windows Server 2016のコンテナホスト上で、Docker Hubから取得したNano Serverイメージ(microsoft/nanoserver)を使用して、Windowsコンテナを作成、実行しているところ

 更新プログラム適用前のインストールサイズ(ディスク上のサイズ)は500~700MB程度と、非常にコンパクトでありながら、Hyper-V、コンテナ、IIS(インターネットインフォメーションサービス)、ファイルサーバ、フェイルオーバークラスタリング、DNS(Domain Name System)サーバ、ASP.NET 5/.NET Coreといった、インフラストラクチャサーバおよびアプリケーションサーバ用のOSとして利用できます。

 Nano Serverからはローカルコンソールさえも削除されており(「Nano Server Recovery Console」というトラブルシューティング用のローカルコンソールはあります)、「PowerShell Remoting」などによるコマンドラインベースのリモート管理が基本になります。通常のWindows Serverと同様、物理マシン、Hyper-V仮想マシン、Azure仮想マシンにインストールすることができます。また、Windows Server 2016の新機能であるDocker対応のWindowsコンテナのベースOSイメージとしても利用可能です。

 Nano Server自身が非常にコンパクトであることから、その分、コンピューティングリソースをサーバ上の役割やアプリケーションに割り当てることができるため、興味を持たれている企業/サーバ管理者も多いと思います。

 例えば、VMwareが提供する無償版のハイパーバイザーに「VMware vSphere Hypervisor(ESXi)」がありますが、それに相当するものとしてMicrosoftは無償の「Microsoft Hyper-V Server」を提供しています。ただし、技術的に言うと、Microsoft Hyper-V Serverは、Server CoreベースのWindows Serverであり、あらかじめ「Hyper-Vの役割」を有効化したようなもので、インストールに必要な領域やリソース要件はWindows Serverとほぼ共通です。Nano ServerベースでHyper-Vホストを構築した方がESXiにより近いイメージであり、ハイパーバイザー環境を最小限のリソースで動かし、その分、仮想マシンにリソースを割り当てることができます。

 しかし、Nano Serverにそのような期待をして、運用環境に導入するのはちょっと待ってください。物理マシン、Hyper-V仮想マシン、Azure仮想マシンにインストールして動かす利用形態は、現行バージョンのNano Serverが最後になるからです。

 もう1点、Nano Serverについては重要なことがあります。それは、Nano Serverが通常のWindows Server 2016のコアベースのライセンスが提供する永続ライセンスではなく、コアベースのライセンスに加えて、「ソフトウェアアシュアランス(SA)」契約が必要な“非永続ライセンス”だという点です。

 通常のWindows Server 2016は「Long Term Servicing Branch(LTSB)」(2017年秋からは「Long Term Serving Channel(LTSC)」と呼ばれるようになる予定)という、標準で最低10年のサポート(メインストリーム5年+延長サポート5年)が提供されます。対して、Nano Serverは、SAに基づいて「Current Branch for Business(CBB)」というWindows 10でもおなじみのサービスオプションで提供されます。Nano Serverは、CBBのサービスオプションで1年に2~3バージョンがリリースされる予定でした。Nano Serverが登場して間もなく1年になりますが、その約束が果たされることはありませんでした。

●2代目ブラザーズ、Nano Serverはコンテナ限定の地下アイドル?

 Windows 10 Fall Creators Update バージョン1709およびOffice 365 ProPlusのバージョン1709からは、1年に2回(3月と9月ごろ)のサイクルで新しいバージョンがリリースされる「Semi-Annual Channel(半期チャネル)」の事実上のスタートです。Windows 10のCurrent Branch(CB)/Current Branch for Business(CBB)は、それぞれ「Semi-Annual Channel(Targeted)」「Semi-Annual Channel」という名称に変更されます(Semi-Annual Channelという名称の使用は、Windows 10 Creators Update バージョン1703の2017年7月のCBB向けリリースから始まっています)。

 これに合わせ、Windows ServerでもSemi-Annual Channelがスタートします。従来のLTSB(今後はLTSC)に基づいたWindows Server 2016のサポートは続きますが、Semi-Annual ChannelはSAに基づいて提供されるサービスオプションであり、その対象はServer CoreおよびNano Serverです。

 そして、Semi-Annual ChannelのServer Coreは、物理サーバ、仮想マシン、Azureのようなクラウド環境にインストールして使用できる他、WindowsコンテナのベースOSイメージとしても提供されます。対して、Nano Serverの方は、WindowsコンテナのベースOSイメージとしてのみの提供になります。

 WindowsコンテナのベースOSイメージとしてのみの提供となるNano Serverは、利用可能な役割やコンポーネントがさらに削減され、コンパクトになっています。例えば、コアイメージはWindows PowerShellやWMI(Windows Management Instrumentation)のサポートさえ含みませんし、物理マシン用のドライバも不要です。OS更新の必要もないため(イメージを置き換えるだけなので)、Windows Updateの機能も搭載していません(プレビュービルドのmicrosoft/nanoserver-insiderで200MB程度)。なお、Windows Server Insider Previewでは、オープンソースの.NET CoreおよびPowerShell Coreを組み込み済みのイメージ(microsoft/nanoserver-insider-powershell)も提供されています。

●結局、初代Nano Serverはいつまでサポートされるの?

 ここまで、Nano Serverの現行バージョンと次期バージョンについて説明してきましたが、ここで疑問が生じませんか。現行バージョンのNano Serverは、いつまでサポートされるのかという疑問です。Windows 10やOffice 365 ProPlusの場合は、何度かのポリシー変更を経て、現在は、各バージョンのリリースから18カ月間はサポート(品質更新サポート)が提供されます。もともとのCB/CBBの概念では、新バージョンがリリースされるたびに、数世代前の過去バージョンのサポートが順次終了していくことになっていました。1年前にNano Serverが登場したときにも、これと同じもともとのCBBのサポートオプションが適用されるものと想像していました。

 Nano Serverは提供開始から1年が過ぎて、ようやく次のバージョンがリリースされることになるわけですが、次のバージョンにはSemi-Annual Channel(半期チャネル)のポリシーが適用されることになります。Windows 10やOffice 365 ProPlusと同様、リリースサイクルは1年に2回(こちらは“3月と9月ごろ”ではなく、“春と秋”という表現になっています)、各バージョンはリリース後18カ月サポートされることになっています。

 Microsoftのドキュメントでは、既にCBBでNano Serverを使用している顧客向けに、以下のように説明されています。

□□
Windows Serverの新しい半期チャネルは、モデル名が新しくなりましたが、内容は同じです。このモデルでは、Nano Serverの機能更新リリースが年に2回~3回公開される予定です。ただし、Windows Server、バージョン1709の新しい機能リリース以降、Nano Serverはコンテナ基本OSイメージとしてのみ提供されます。
□□

 バージョン1709より以前に、新バージョンがリリースされることはないでしょうから、コンテナのベースOSイメージ以外の環境でNano Serverを利用している場合は、やはり現行バージョンが最後になります。そして、現行バージョンのNano Serverにも、リリース後18カ月のサポートポリシーが適用されると考えるのが妥当です。だとしたら、ライフサイクル開始日が「2016年10月15日」ですから、2018年4月にはサポートが終了する可能性があります。

 そこで、最新の製品サポートライフサイクルで確認してみました(サポートライフサイクルの情報は変更されることがあります)。検索結果では、Nano Serverのインストールオプションの備考欄には「この製品はMicrosoftのモダンライフサイクルポリシーにより規定されています」とあります。

 「モダンライフサイクルポリシー」は継続的にサービスとサポートが提供される製品およびサービスを対象としたもので、主にMicrosoft AzureやOffice 365などのクラウドサービスが対象になります。このポリシーでは「後継の製品またはサービスを提供せずにサポートを終了する場合、少なくとも12カ月前に通知します」とありますが、Nano Serverは“コンテナのベースOSイメージとしてのみ”という条件は付きますが、この対象にはならないので、12カ月前に通知されることはないでしょう。

 Nano Serverを物理サーバや仮想マシンとして運用環境に既に導入してしまったという企業にとっては、“何なのよ”と叫びたくなるかもしれません。Nano Serverだけに……。

 というのは冗談で、ポリシーが途中で変更されたのですから猶予期間が設けられるという可能性はあります。しかし、既に物理サーバや仮想化環境に導入してしまったという企業は、そんな可能性には期待せず、2018年春にはサポートされなくなるという前提で、急いでNano Serverからの移行と撤退を始めた方がよいでしょう。

●筆者紹介
○山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門-完全版』(日経BP社)。

 

 

多くの人が知らない新たなる方法ということです。

どういうこと?と思ったら、

ぜひボタンをポチッと押してください。

http://kcvzlrn9.iqservs.com/senkin?r=70&u=6162

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント